ふぎと屋【溺書ブログ】

「色んな本が読みたい」「もっと深い読書がしたい」あなたのための溺書ブログ。見たい記事を見たいだけどうぞ。

書評

【26歳の代表作】尾崎紅葉『三人妻』(岩波文庫) #39

この記事から学べること 尾崎紅葉の生涯 『三人妻』はどんな作品か 作家としての紅葉の特性 最後の江戸人 日本が近代国家としてのスタートを切る直前の1867年、 江戸の芝中門前2丁目に生まれた男があった。名は徳太 郎。のちに文学結社「硯友社」を創立し、…

【「情報選別力」を鍛える】瀬木比呂志『リベラルアーツの学び方』(ディスカヴァー21) #38

この記事から学べること この本の著者、瀬木氏はどういう人物か リベラルアーツ(教養)を身につけるための考え方 リベラルアーツの由来 「構造的」に見る 刺さった。「リベラルアーツ」の重要性、そしてそれをどう学び、活かすかというところのエッセンスをこ…

【心をタフにする読書法】佐藤優『功利主義者の読書術』(新潮文庫) #36

読書には、大きな罠がある。特に、読書家といわれる人がその罠に落ちやすい。読書はいわば「他人の頭で考えること」である。従って、たくさんの本を読むうちに、自分の頭で考えなくなってしまう危険性がある。 冒頭からのすっぱ抜きだ。本を無批判に読むのは…

【19世紀のクラブシーン】高野史緖『ムジカ・マキーナ』(ハヤカワ文庫) #35

ようこそ、ふぎと屋へ。今日は高野史緒『ムジカ・マキーナ』を紹介しよう。 ムジカ・マキーナ (ハヤカワ文庫JA) 作者:史緒, 高野 発売日: 2002/05/10 メディア: 文庫 無冠のデビュー作 この作品でデビューしろと言われたところで、たかが一応募者に過ぎない…

選書ブロガーが選ぶ!2020年上半期ベスト3

どーも、「選書ブロガー」のふぎとです!普段の記事は常体(だ・である調)ですが、今回は敬体(です・ます調)で書きたいと思います。 さてさて、今年の初めから「選書ブロガー」として筆をとってきて、色んなジャンルの本を読んで、紹介してきたわけなのですが…

【ドライに紡ぐ物語】スタインベック『ハツカネズミと人間』(新潮文庫) #34

ようこそ、ふぎと屋へ。今日はスタインベック『ハツカネズミと人間』を仕入れたよ。ゆるりとくつろぎながら聞いていってくれ。 ハツカネズミと人間 (新潮文庫) 作者:ジョン スタインベック 発売日: 1994/08/10 メディア: 文庫 戦争と牧歌 手始めに、1937年に…

【乾坤一擲の海洋文学】ヘミングウェイ『老人と海』 #33

ようこそ、「ふぎと屋」へ。きょうはアメリカの海洋文学を仕入れたよ。ひとつ、付き合ってもらっていいかい?…そうだなあ、今回はエドムンド・ウィルソンの話から始めようか。 批評家E.ウィルソン ウィルソンってのはアメリカの批評家さ。法律家の息子として…

【構造を闡明する】九鬼周造『「いき」の構造』(講談社学術文庫) #32

文化は脱ぎすてることはできない(エドワード・ホール『かくれた次元』) 「いき」の構造 (講談社学術文庫) 作者:九鬼 周造,藤田 正勝 発売日: 2003/12/11 メディア: 文庫 今夜は「いき」を紹介したい。九鬼周造の著作である。彼が「いき」を書くまでのいき…

【時代を観察する】なかにし礼『戦場のニーナ』(講談社文庫) #32

どーも、ふぎとです。今日はなかにし礼『戦場のニーナ』を紹介するよ。 戦場のニーナ (講談社文庫) 作者:なかにし礼 発売日: 2019/12/20 メディア: Kindle版 作品紹介 最近、ロシアに出会うことが多い。というのも、書店でパッと手に取った本がロシアやソ連…

【第3の態と責任】國分功一朗『中動態の世界 意志と責任の考古学』(医学書院)#31

どーも、ふぎとです。今日は國分功一郎『中動態の世界』を紹介するよ。 中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく) 作者:國分功一郎 発売日: 2017/03/27 メディア: 単行本 作品紹介 「能動的に動け」「主体的に考えよ」。ビジネス書で目にし…

【創造的な模倣】世阿弥『風姿花伝』(岩波文庫) #30

どーも、ふぎとです。今日は世阿弥『風姿花伝』(岩波文庫)を紹介するよ。 風姿花伝 (岩波文庫) 作者:世阿弥 発売日: 1958/10/25 メディア: 文庫 作品紹介 どうやら現代社会というところは、「創造的人材」が多く求められる場であるらしい。「創造的な人材の…

【観天望気のシングルマザー】川端裕人『雲の王』(集英社文庫) #29

どーも、ふぎとです。今日は川端裕人『雲の王』(集英社文庫)を紹介するよ。 雲の王 (集英社文庫) 作者:川端 裕人 発売日: 2015/07/17 メディア: 文庫 作品紹介 「共感覚」という言葉がある。これは五感のいずれかから刺激を受け取ったときに、別の感官も刺激…

【生きたロボットを止める?】森博嗣『魔法の色を知っているか?』(講談社タイガ) #28

どーも、ふぎとです。今日は森博嗣『魔法の色を知っているか?』を紹介するよ。 魔法の色を知っているか? What Color is the Magic? Wシリーズ (講談社タイガ) 作者:森博嗣 発売日: 2016/01/19 メディア: Kindle版 作品紹介 最近のAI技…

【物語を食べて生きる】米原万里『オリガ・モリソヴナの反語法』(集英社文庫) #27

どーも、ふぎとです。今日は米原万里『オリガ・モリソヴナの反語法』を紹介するよ。 オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫) 作者:米原 万里 発売日: 2005/10/20 メディア: 文庫 作品紹介 「生まれたての小鳥の雛は、初めて見たものを親だと思ってついてい…

【文学という犯罪】安部公房『壁』(新潮文庫) #26

どーも、ふぎとです。今日は安部公房『壁』(新潮文庫)を紹介するよ。 壁 (新潮文庫) 作者:公房, 安部 発売日: 1969/05/20 メディア: 文庫 作品紹介 これはいったい何なのか。奪われた名前、闊歩する名刺、胸に取り込んだ荒野、主客の転倒、バベルの塔。いや…

【文体という兵器】伊藤計劃『虐殺器官』(ハヤカワ文庫) #25

どーも、ふぎとです。今日は伊藤計劃『虐殺器官』(ハヤカワ文庫)を紹介するよ。 虐殺器官〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA) 作者:伊藤計劃 発売日: 2014/08/08 メディア: 文庫 作品紹介 小説を批評するとき、「文体」ということが取り沙汰されることがある。小学館…

【意味で捉えなおす歴史】川北稔『世界システム論講義』(ちくま学芸文庫) #24

どーも、ふぎとです。 今日は川北稔『世界システム論講義』(ちくま学芸文庫) を紹介するよ。 世界システム論講義: ヨーロッパと近代世界 (ちくま学芸文庫) 作者:川北 稔 発売日: 2016/01/07 メディア: 文庫 作品紹介 突然だが、近代世界システム論という言…

【長編的な何か】円城塔『self-Reference ENGINE』(ハヤカワ文庫) #23

どーも、ふぎとです。今日は円城塔『self-Reference ENGINE』(ハヤカワ文庫)を紹介するよ。 Self-Reference ENGINE 作者:円城 塔 発売日: 2013/11/15 メディア: Kindle版 作品紹介 無限に広がる平面。その地表には、無限の数の人間が暮らしている。 "イベ…

【持続可能な復元力】ローワン・ジェイコブセン『ハチはなぜ大量死したのか』(中里京子 訳、文春文庫) #22

どーも、ふぎとです。今日はローワン・ジェイコブセン『ハチはなぜ大量死したのか』を紹介するよ。 ハチはなぜ大量死したのか (文春文庫) 作者:ローワン ジェイコブセン 発売日: 2011/07/08 メディア: 文庫 作品紹介 産業革命以降、人類は経済を発達させ先進…

【エイリアン探索】マーク・カウフマン『地球外生命を求めて』(奥田裕士 訳、DISCOVERサイエンス) #21

どーも、ふぎとです。今日はマーク・カウフマン『地球外生命を求めて』を紹介するよ。 地球外生命を求めて (Dis+Cover Science) 作者:マーク・カウフマン 発売日: 2011/09/16 メディア: 新書 作品紹介 地球上で、「最初の生命」はどのように生まれたのか。こ…

【ドノ事ソノ事を探す旅】塩野七生『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』(新潮文庫) #20

どーも、ふぎとです。今日は塩野七生『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』(新潮文庫)を紹介するよ。 チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫) 作者:七生, 塩野 発売日: 1982/09/28 メディア: 文庫 作品紹介 「尾張の大うつけ」織田信…

【妖怪モヤモヤ】京極夏彦『姑獲鳥の夏』(講談社文庫) #19

どーも、ふぎとです。今日は京極夏彦『姑獲鳥の夏』を紹介するよ。 文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫) 作者:京極 夏彦 発売日: 1998/09/14 メディア: 文庫 作品紹介 すべての読書を「スッキリする読書」と「モヤモヤする読書」に分けるとすると、ぼくのなかで…

【6000人一斉自殺】伊藤計劃『ハーモニー』(早川書房) #18

どーも、ふぎとです。今日は伊藤計劃『ハーモニー』を紹介するよ。 ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA) 作者:伊藤計劃 発売日: 2014/08/08 メディア: 文庫 作品紹介 Lifism―生命至上主義。2019年に発生した核兵器の散発的な使用は、人類の健康危機を引き…

【負を転がしてくれる鹿】黒木渚『壁の鹿』(講談社文庫) #17

どーも、ふぎとです。今日は黒木渚『壁の鹿』を紹介するよ。 壁の鹿 (講談社文庫) 作者:黒木 渚 発売日: 2017/04/14 メディア: 文庫 作品紹介 鹿の剥製が最初に話した言葉は、「まったく、理解不能です」というものだった。 高校二年の冬、あの懐かしい書斎…

【グルグル魔人とアルマゲドン】舞城王太郎『阿修羅ガール』(新潮文庫) #16

どーも、ふぎとです。今日は舞城王太郎『阿修羅ガール』(新潮文庫)を紹介するよ。 阿修羅ガール (新潮文庫) 作者:王太郎, 舞城 発売日: 2005/04/24 メディア: 文庫 作品紹介 コロナコロナと言っていて、マスクマスクと騒いでいたらいつのまにか1週間が経っ…

【もうひとつの非常事態】楡周平『ガリバー・パニック』(講談社文庫) #15

どーも、ふぎとです。今日は楡周平『ガリバー・パニック』(講談社文庫)を紹介するよ。 ガリバー・パニック (講談社文庫) 作者:楡 周平 メディア: 文庫 作品紹介 7日、首相は非常事態を正式に宣言した。これで状況はひとつ次のフェーズへ進んだように思われ…

【誰がゲルニカを描いたのか】原田マハ『暗幕のゲルニカ』(新潮文庫) #14

どーも、ふぎとです。今日は原田マハ『暗幕のゲルニカ』を紹介するよ。 暗幕のゲルニカ (新潮文庫) 作者:マハ, 原田 発売日: 2018/06/28 メディア: 文庫 作品紹介 2001年。ニューヨークの現代美術館(MoMA)で働く瑶子は、来る「ピカソ展」に向けた準備に携わ…

【"感じかた"の提案】吉本ばなな『キッチン』(新潮文庫) #13

どーも、ふぎとです。今日は吉本ばなな『キッチン』を紹介するよ。 キッチン (新潮文庫) 作者:ばなな, 吉本 発売日: 2002/06/28 メディア: 文庫 作品紹介 今は昨日よりも少し楽に息ができる。また息もできない孤独な夜が来るに違いないことは確かに私をうん…

【ながい午後をゆく】B.W.オールディス『地球の長い午後』(ハヤカワ文庫) #12

どーも、ふぎとです。今日はB.W.オールディス『地球の長い午後』を紹介するよ。 地球の長い午後 (ハヤカワ文庫 SF 224) 作者:ブライアン W.オールディス 発売日: 1977/01/28 メディア: 文庫 作品紹介 1人の読み手として、作家の想像力・描写力に畏怖の念を…

【御免状はどこだ】隆慶一郎『吉原御免状』(新潮文庫)

どーも、ふぎとです。 今日は隆慶一郎『吉原御免状』を紹介するよ。 作品・著者紹介 明歴3年(1657)、浅草日本堤から江戸を見渡す男の姿があった。名は、松永誠一郎。「26になったら江戸に行き、吉原の庄司甚右衛門を訪ねよ」という師-宮本武蔵政名-の遺言…