ふぎと屋【溺書ブログ】

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【2回は読める離散小説】法条遥『忘却のレーテ』(新潮文庫)読んでみた


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どーも、ふぎとです。
今日は法条遥『忘却のレーテ』を紹介するよ。

 

忘却のレーテ(新潮文庫)

忘却のレーテ(新潮文庫)

 


 誰でも、忘れたいことがある。忘れたくても、忘れら
れないことがある。では、「忘却薬」を処方されたら、
あなたは飲むだろうか?


 本書は、そんな忘却薬の臨床実験を地においた、「離
散小説」だ。治験者は毎日0時に、強力な睡眠薬ととも
に「忘却の薬」レーテを投与される。だから、彼らはこ
の治験期間中、毎朝「なぜ自分がここにいるのか」わか
らない。過去と現在が繋がらないのだ。離散しているの
である。だから、実験の責任者である小野寺エリス博士
に、「同じ説明」を「何度も」受けることになる。だが
ここで、読者はある疑問を抱くことになる。これは作中
でも提示されているものなのだが、「ひとが『何かを忘
れた』ことを他人が正しく評価できるのか」ということ
だ。その問いに対して、博士は「証明する方法はある」
と言い放つ。しかし、その方法は最後になるまで伏せら
れたままにある。そして参加者のひとり、笹木唯の視点
を通して、読者は日がな積もってゆく謎に浸されること
になる。2日目にして既に少ない食糧、4日目にだけ提
示された新聞、そして彼女が起き抜けに目撃する死体...。


「面接の結果、残念ながらあなたは不合格となりました」


 全てが離散し、収束する。そして彼女は、-を忘れる。

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 さくっと紹介してみましたが、いかがだったでしょう
か?この本はさくっと読めちゃうんですが、2回は読ま
ないと作者の意図がわからないです。逆に言えば、それ
だけ読みごたえのある作品になってます。


 作者の法条遥さん、僕は初めましてでしたが「ホラー
小説大賞」を受賞してデビューした作家さんだそう(『バ
イロケーション』)。本作を機にほかの著作ものぞいてみ
たいと思います。

 

忘却のレーテ(新潮文庫)

忘却のレーテ(新潮文庫)

 


では今日はこの辺で。ふぎとでした。