ふぎと屋【溺書ブログ】

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【意味で捉えなおす歴史】川北稔『世界システム論講義』(ちくま学芸文庫) #24


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どーも、ふぎとです。
今日は川北稔『世界システム論講義』(ちくま学芸文庫
を紹介するよ。

 

 

 

作品紹介

 
 突然だが、近代世界システム論という言葉をご存知だ
ろうか。近代史を「意味」で捉えようとするような立場
を指す言葉だ。言い換えるとこの立場は、近代の世界を
「西ヨーロッパ諸国を「中核」とし、ラテンアメリカ
東ヨーロッパを「周辺」として」成立した「システム」
だというふうにとらえる。つまるところ、世界システム
論においては、「歴史は「国」を単位として動くのでは
ない。すべての国の動向は、「一体としての世界」つま
世界システムの動きの一部でしかない」。さらに言い
換えるとするなら、歴史を巨視的に捉えなおす立場とも
言えるかもしれない。
 そもそもこの世界システム論を言い出したのは、ニュ
ーヨーク出身で、カナダのマギル大学などで教鞭をとっ
社会学者、イマニュエル・ウォーラーステインだった。
彼はマルクス主義的な歴史観を拡張し、地球全体を資本
主義が覆ったことを近代の特徴とみなした。ここでマル
クス主義的歴史観とは、いわゆる唯物史観を指す。つま
り、「人間社会は初め、低い生産力に制約されて、すべ
ての人が共同で労働する原始共同体であった。しかし、
生産諸力の発展、分業、私的所有、商品交換の出現によ
って、共同体の崩壊が始まり、人々は諸階級に分裂し、
階級社会が生まれた。この階級社会の主要な形態は、奴
隷制、封建制、資本制であり、その出現以来、歴史は階
級闘争の歴史である」と解釈する立場をいう。
 この、ウォーラーステインがぶちあげた巨視的な方法
には批判もある。「世界システム論が対象とするのは世
界システムしかない」というのがその一つだ。これは、
世界システム論という方法がきわめて特殊なもので、そ
のためカール・ポパーが「科学の科学たる要件」として
あげた「反証可能性」が担保されていないことを指す。
つまり、科学一般において、その構造と変動を理論的に
把握するためには他の事例と比較をする必要があるが、
世界システム論についてそのような把握の仕方は不可能
ではないか、というのである。
 こうした批判こそあれ、彼がこのシステム論を論じる
際に行った経済・政治を中心としたグローバルな分析は
社会科学に大きな影響を与えるものだった。彼の立場に
依拠し、その思想を広く世に広めたのが、本書の著者で
ある川北稔であった。本書では、歴史を「国」単位で見
ず、「まとまった意味の塊」のように見る方法が多数紹
介されている。なかでも、ぼくとしては第10章「だれが
アメリカをつくったのか」で示されている「社会問題処
理場としてのアメリカ植民地」という実相が、とても興
味深かった。
 

この本をオススメしたい人

 
・「大航海時代」以降の近代史が好きな人
・新しい視点から歴史を見てみたい人
 
ではでは今日はこの辺で。ふぎとでした。